カテゴリ:コラム

【PLiCyゲーム感想文】第9回「ファイアフライ」



「PLiCyゲーム感想文」はPLiCy運営によるゲームレビュー企画です。
参加作品から抜粋し、「webゲームとしての感想」「スマホゲームとしての感想」「作品をよりもっと遊んでもらうために」などの観点から、
各作品ごとにレビュー記事を掲載します。

今回は、まりすえす・さーどさん製作の「ファイアフライ」の感想を述べていきます。
(PC Chrome /Android6.0で動作確認)


「ファイアフライ」について


ゲームページに行く⇒https://plicy.net/GamePlay/46418

本作は、シナリオ中心の長編ファンタジーRPGです。
魔王に支配された世界で、若き勇者候補生たちが勇者を目指し旅をするといったストーリーです。
システムとしては、RPGツクールMVのデフォルト戦闘をベースに、スキルツリーやドロップアイテムなど
独自の成長要素が導入されています。


凝ったシナリオと演出が楽しめる、王道のファンタジー


長編RPGということもあり、かなりしっかりとしたシナリオが作られています。
勇者の心構え、人と魔物の共存などかなり難解なテーマに踏み込んでいますが
主人公たちの交流と上手く絡めて、難しくなり過ぎないように配慮されている印象です。
シナリオに伴う、候補生たちの人間関係の推移も面白く読ませて頂きました。

キャラクターの性格が技構成に反映される、仲間を大事にしなければ勝てないバランスの戦闘など
シナリオの表現とRPGというシステムを連動させる試みが随所に見られ
良い意味で「シナリオのためのRPG」という感想を抱きました。
フィールド上ではいくつもの印象的な景観があり、実際にゲームをプレイすることで
プレイヤーにも旅の思い出が残る事でしょう。

スマートフォン上のプレイについては、特に問題がありませんでした。
PLiCy全体に仮想パッドが導入されたので、投稿時よりさらに遊びやすくなっていると思います。


戦闘バランスは要改善 RPGのテストプレイの注意点


シナリオ、特にキャラクター周りの人間関係にかなりの比重が置かれている本作ですが、
序盤は機能や設定の説明が多く、初見のプレイヤーを引っ張る力が弱い印象です。

漫画やアニメでもそうですが、シナリオ序盤でいかに興味を持たせるかでプレイヤーの残留率が変わってきます。
キャラクターが出そろった2章前後からは一気に引き込まれる展開も増えてくるので
最序盤から後半のようなドラマ展開ができれば、より多くのプレイヤーを
シナリオの中核まで連れて行けるのではないかと感じました。


戦闘バランスについて、特に最終章以降のエンカウント敵の強さは見直しを入れて頂きたいです。
シナリオ上、「出てくる敵全てがボス級の強さ」という演出を入れているのだと推測できますが
1度の戦闘ごとにパーティの半数が壊滅するバランスは、ゲームの進行に大幅な支障をきたします。
(最終章ではアイテムの補充ポイントやセーブポイントも少なかったため、実際に進行に時間がかかりました)
シナリオの読み進めにも影響しますので、ぜひ再調整を検討頂ければと思います。

RPGのテストプレイについては、全編通しでのテストプレイ・マップごとのテストプレイなどの形式がありますが
セーブポイントやテスト用アイテムの有無でもゲームバランスは大きく変化するため、
時間がかかっても全編を通してテストプレイすることをお勧めします。
特にシナリオを楽しむタイプの作品は「やや簡単すぎる」くらい、ストレスなく進めるようにバランスを組むことで
プレイヤーがシナリオに目を向ける余裕ができます。

おまけ:RPGで「快適に進める」バランス調整の一例
・1回の雑魚戦闘でHPが0になるキャラは1人以下に必ず抑える
・全体回復持ちのキャラが2~3人パーティに常駐できるようにする
・難所でもセーブをこまめにできるようにする
・雑魚を倒すまでにかかる時間を4ターン程度までにする


雑魚エンカウントでは、戦闘不能キャラを少なく・簡単に倒せるバランスを心がけると良いでしょう。
回復場所・回復キャラや拠点はなるべく多めに配置すると進みやすくなります。




2018.01.12