君を連れ戻す。この黄昏の世界から、群青の明日へ。
高校生の山吹陸は、ある夏の日、クラスメイトの野田凪が怪我をした黒猫を抱えている場面に遭遇する。クールで人を寄せ付けない彼女は、学校では「野良猫」と呼ばれ浮いた存在だった。
陸が猫を助けたことをきっかけに、二人は不思議な縁で結ばれる。凪がお礼として陸を連れて行ったのは、寂れた神社の鳥居の先に広がる、夕暮れ時にしか現れない異世界──「黄昏の国」だった。
そこは人影もなく、すべてがオレンジ色に染まった生と死の狭間。
「ここなら、誰も私を傷つけないから」
複雑な家庭環境に孤独を抱え、唯一の肉親である祖母の体調を案じる凪にとって、そこは静寂に包まれた唯一の避難所だった。
「世界の狭間」で過ごす、二人だけの秘密の夏休み。
これは、生と死の狭間の世界で、彼女がさよならを言うまでの物語。